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ハリー・ポッターと闇の姫君

第10章 【親友とは】


 そう言って、3人は年齢線を前に並んだ。ゴクリ、と生つばを飲み込む音がした。今や誰もがフレッド、ジョージ、リーを見つめている。
 1番手はフレッドだ。フレッドは深呼吸をすると、年齢線を飛び越えた――何も起こらない!続いてジョージも年齢線を飛び越えた、その瞬間――まるで空気の塊がゴブレットから発射されたかのように2人の体が吹き飛んで廊下に投げ出された。

「う~、痛てぇ……」

 起き上がった2人の顔を見て、その場にいた全員が爆笑した。何と2人の顎に、ふさふさの白くて長い髭が生えていたのだ。フレッドとジョージもお互いの顔を見て笑っていた。

「2人とも、昨夜忠告したはずじゃぞ」

 茶目っ気のある声と同時に、大広間からダンブルドア校長が出てきたところだった。2人の行いを罰するどころか、どこか面白がっている節が見られる。ダンブルドアは満足そうに髭を撫でながらこう言いた。

「2人とも、マダム・ポンフリーの所へ行きなさい。すでにレイブンクローのミス・フォーセットとハッフルパフのミスター・サマーズもお世話になっている。といっても、2人とも君たちほど立派な髭はたくわえておらぬがな」

 ハハハと笑いながら、ダンブルドアはまた大広間に戻って行った。それに引きつられる様にして、野次馬達も大広間へ向かっていく。
 チャンスは今しかない。クリスはポケットに入っている小石を包んだ羊皮紙を取り出した。そして年齢線ギリギリまで行くと、それをゴブレットに向けて放り投げた。が、悲しいかなゴブレットの中に入らず無様に床に落ちた。

「ノーコン」
「煩い!って、ドラコ!?」

 一体いつからそこに居たんだろう。いつも通り腰ぎんちゃくのクラップとゴイルを連れている。
 よりによって1番見られたくない相手に見られてしまった。クリスは羞恥心で顔が真っ赤になるのが自分でも分かった。しかしここで引き下がるわけにはいかない。なにせあと羊皮紙は19個も残っているんだ。1つくらい入るはずだ。

「てやっ!」

 今度は狙い澄まして小石を投げた。しかし惜しくも縁にあたって跳ね返った。クリスの後ろで、ドラコがニヤニヤしながらこちらを見ているのが嫌でも分かる。
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