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ハリー・ポッターと闇の姫君

第10章 【親友とは】


 次の日、クリスは日の出と共に起きると、早々とローブに着替え、北風の吹く中グラウンドに出て、手頃な小石を20個ほど拾い集めた。
 そして今度はまた部屋に戻り、羊皮紙に【ホグワーツ校 クリス・グレイン】と書いて小石を包んだ。クリスの考えた作戦――その名も『下手な鉄砲も数打てば当たる作戦』だ。

 クリスはローブのポケットに小石を包んだ羊皮紙をこんもりと入れると、ハーマイオニー達を起こさない様にこっそりと部屋を出た。

 これだけの数を投票する人間なんて、おそらく自分くらいだろう。もしかしたら――ククク、とこみ上げる笑いを必死に抑え、ロビーに出て行くと、なんと先客がいた。
 それも1人じゃない、5人くらいは『炎のゴブレット』の周りをウロウロしている。なんと言う事だ、これじゃあこっそりもクソも無いじゃないか。

 仕方なく、クリスは人がいなくなるのを待った。しかしクリスの考えとは裏腹に、時間が経てばたつほどゴブレットの周りにいる人間は増えていく。クリスが柱の陰で身を潜めていると、突然後ろから声をかけられ心臓がひっくり返りそうになった。

「だっだっだっだっ誰だ!?」
「そんなに驚くなよ、俺達だよ、お・れ・た・ち!」

 振り返ると、フレッド、ジョージ、リーの3人が勝ち誇った顔をして立っていた。しかもその後ろには、ハリー、ロン、ハーマイオニーまでいる。

「俺達はやるぜ、クリス。たった今飲んできたんだ」
「飲んできたって、まさか……」
「そう、そのまさか。『老け薬』さ!」

 ニヤリとフレッドが笑った。曰く3人の内誰かが優勝したら、1千ガリオンは仲良く山分けするそうだ。
 3人の表情は、悪戯を企てている時の様に満面の笑みだ。そこでいつもの様にハーマイオニーが呆れた様に口をはさんだ。

「でも、ダンブルドア先生がそんな簡単なこと見落とすとも思えないけど」
「チッチッチ、ハーマイオニー。“何の冒険もしなければ何も得られない”だ」
「そうだとも。男にはやらねばならぬ時がある」
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