第11章 死者の夢
「。その前にキスは?」
「あとで。キャプテンも顔洗ってきて」
「あとで」
どうやらそれがないとローは起きることができないようで、もう自分でするとばかりにの『つむじ』や耳にキスしている。そのあとぎゅーとハグをして、そのまま彼は固まってしまった。
「……このまま二度寝したい」
「ローお前、海賊じゃなくなると割と堕落するんだな……」
「キャプテンそろそろ満足して」
「からまだキスしてもらってない」
「しょうがないなぁ」
ごはんが作れないので、は背伸びしてローの頬にキスした。
「これでいい?」
「ん。今日も頑張る気力が出た」
「ごはん食べる時間なくなっちゃうよ。顔洗ってきて」
押し出され、やっとローは洗面所へ行った。
「ちゃん毎朝大変だな」
「そうなの。週の半分はコラさんと寝てほしい」
「ローは俺にキスは求めないって」
「えー? きっと喜ぶよ」
声を上げて、二人は笑った。
◇◆◇
ローを仕事に送り出したあと、コラソンとは二人で協力して家の中を掃除し、洗濯物を干した。
「今日お天気いいねー。日差しがぽかぽかする」
シーツがはためく音に耳をすませ、は気持ちよさそうにしている。家事が一段落したら縁側で一緒にお茶を飲むのも二人の日課だった。
「ちゃん巣箱に鳥が来てるよ」
「ほんと? 気に入ってくれそう?」
「きっとね」
鳥のさえずりを聞きながら、はうとうととまぶたを落とした。
「眠い?」
「うん、寝るの遅かったから……キャプテン患者さん放って昼寝してないかなぁ」
「やりそうだね。あいつ急患以外はやる気ないからなぁ」
「あとで見張りに行こうね」
笑ってコラソンは了承した。
風が吹き、は髪を押さえる。ヒヨドリの可愛らしい声がして、日差しは温かいしお茶はおいしい。
ふと、は尋ねた。
「コラさん、いま幸せ?」
「どうしたの、いきなり」
「うーん? なんか急に聞きたくなったの」
「幸せだよ」
コラソンは断言し、本当に夢みたいに幸福だとしみじみ思った。
(ああ、そうか……)
そして唐突に、理解してしまった。