第11章 死者の夢
111.覚醒
「お前らほんと……」
何か知らないがケンカして、別々に寝るということで話がついたはずの二人が結局リビングで仲良く一緒に寝ているのを発見してコラソンは苦笑した。
(仲がいいっつーか……ローが甘えてるんだろうな)
どこにも行かないように抱きしめて寝る彼は、ザ・独占欲の塊という感じだった。
「んん……」
「おはようちゃん」
「コラさん? お二階に上がってきたの? 階段ひとりで登っちゃ危ないよ」
「ここリビングだよ」
寝ぼけた様子で目をこすって、不思議そうに首をかしげながらも、とりあえずはローを起こすことにしたらしい。
隣で眠る彼をゆさゆさとゆさぶる。
「キャプテン、朝だよ。起きて」
「あと5分……」
日差しを嫌ってローはごろりと寝返りを打った。そのくせのことは放そうとしない。
「今日は病院の日だよ」
「もう休診にする……」
「ダメだってば起きて」
こんなにいぎたなかったのかと、興味深くコラソンはローの起床を眺めた。こういう姿はあまり見たことがなかったのだが、そういえば朝はよく、たったいま人を刺し殺してきたような目をしていたような気がする。
「がキスしてくれたら起きる……」
ダンゴムシのように毛布をかぶって丸まって、ローはふざけたことを言った。コラソンが見てるとはまったく気づいていないらしい。
「コラさんの朝ごはん作らなきゃいけないから後でね」
の対応は淡白だった。本当に置いていかれて、毛布を放り出してローは起きる。
はたとコラソンと目があって、お互い妙に気まずい沈黙が流れた。
「そうか、ここで寝たのか……」
リビングを見回しようやく昨夜のことを思い出したらしく、ローはさっさと寝具一式を能力で2階の寝室に飛ばした。
「おはよう、ロー」
「……おはよう、コラさん。昨日は起こしてごめん」
「いいよ。面白いものが見れたから」
「……別にいつもはちゃんと起きてるよ」
「ちゃんにキスしてもらって?」
「……めったにしてくれない」
低く答えるローの口ぶりからするに不満がいろいろあるようだ。
「コラさんおにぎり何がいい?」
顔を洗ってきたが、エプロンをつけながら声をかける。