第11章 死者の夢
「それはダメ。キャプテンあしたもお仕事なんだから、キャプテンがベッドで寝なきゃダメ」
「……そろそろ俺は寝てもいいか?」
あくびをしながらコラソンが許可を求める。
「コラさん起こしてごめんなさい」
「いいよ。おやすみ」
「おやすみなさい」
「おやすみ、コラさん」
コラソンが部屋に戻り、もう一回懐柔しようと試みたローの手をは避けた。
「……明日には機嫌直るよな?」
「知らない。明日の私に聞いて」
能力で毛布を取り寄せたらしい彼にくるまれ、「風邪引かないように温かくして寝ろよ。寒くなったらいつでも戻っていいから」と言われる。
「戻らないもん」
「意地っ張り」
「浮気するキャプテンが私を『かたくな』にさせるんだよ」
かたくなを表現するため、はべーと舌を出した。
「……どこにも行かないって言ったくせに」
ローの声は恨みがましかった。
「う、浮気したら別だもん」
「してない。俺が浮気したことにしたいのはだろ」
「だって前科があるから……」
不満そうな気配がして、マットレスが落ちる音がした。
「な、なに?」
「俺もここで寝る」
どうやら彼は2階の寝室からベッドの寝具を一式取り寄せたらしかった。
「それじゃケンカの意味がないよ」
「ケンカしたいのはだろ。俺はケンカなんかしたくない」
そんなこと言われたらこっちが悪いみたいじゃないか。「むー」とはうなった。
ローはリビングのソファの隣にマットレスを敷いて、さっさと就寝してしまった。今から寝室に戻ってもベッドにマットレスがないので、は仕方なくソファで丸まる。
(なんか納得いかない……)
憤慨してたら手を握られた。さすがに振り払うのは大人げないかと思っていたら、そのままマットレスに引っ張られる。
(もう……!)
怒ろうとして、ぎゅっとすがるように抱きしめられた。不安がるような素振りに、結局抵抗は諦めてはおとなしくローに抱かれる。
(私もキャプテンに甘いなぁ……)
甘やかしすぎて甘くなってるんじゃないかと、ふと彼の指先を舐めてみたら、好きな味がした。