第11章 死者の夢
「や!」
浮気するキャプテンなんて嫌い、と押しのけると焦ったローに抱きしめられた。
「キャプテンはいつもひどい。私がキャプテンのこと好きで仕方ないから何しても許されると思ってるんでしょ……っ」
「思ってない。浮気なんてしてない。ただちょっと、相手が全裸で寝てただけだ」
「女の人が全裸で寝てるからって襲っちゃダメ!」
「襲ってない!! すぐ服着せた!!」
「したあとに服着せてもアウトだよ!!」
「青虫に欲情するわけねぇだろ!」
「キャプテンならわからないもん……」
めそめそと泣くをなだめ、ローは言い訳した。
「でかい青虫が転がってだんだぞ。女だなんて思わないだろ」
「青虫は背中に黄色い斑点があるのがオス、なければメスだよ」
斑点はなかったのか、罰が悪そうにローは黙り込んだ。
「一般常識かそれ……?」
「女の人に失礼なことしちゃいけないのは一般常識だよ」
「う……」
を抱き寄せて、「女だなんて思わなかったんだ」とローは言い訳した。
「浮気の常套句だね」
「、頼むからそんな疑いの目で見るな」
「見えないもん。だからキャプテンは浮気し放題だね」
「そんな嫌味ばっかり言うとブスになるぞ」
悪いのはローなのになんでそんなこと言われなきゃいけないのか。
「もうやだ! 今日はキャプテンと寝ない!!」
寝巻きを拾っては寝室から飛び出した。「え」とか「ちょっと待て!」とかローは言っていたが、コラソンに泣きついたら強引な手段に出られなくなるのは知っていたので、夜中なのに申し訳なかったが起こして彼を叱ってもらう。
「またか、ロー。お前新婚なんだからもうちょっと気をつけろ」
コラソンは基本的に二人がケンカしても放っておくが、が泣いてるときは100%彼女の味方だった。
「気をつけてるよ! 浮気なんかしてない!!」
「ブスになるって言われた……」
「それは無実なのにが責めるから……悪かったって」
ぴったりとコラソンにくっついて、引き取ろうとした彼の手をは「や」と拒んだ。
「今日はリビングのソファで寝るからキャプテン戻って」
今日はもう無理そうだと察して、ローは折れた。
「……わかった。なら俺がソファで寝るから、がベッドだ」