第11章 死者の夢
「それでは指輪の交換を」
指輪のデザインも最初はの好きなものにしようとしたのだが、紆余曲折があった。
『好きなデザインは……クマさん?』
『それじゃベポと結婚するみたいだろ』
『じゃあ猫ちゃん』
『……動物好きなのはわかってるが、今は頼むから動物から離れてくれ』
そんな感じでデザインを絞るのは苦労したのだが、結果的に、目が見えないでも取り違えないように透かし模様の入ったデザインになった。さわれば自分の指輪だとわかるので、もずいぶん気に入ってくれた。ローのももちろん同じデザインで、模様の間にこっそりとハートの海賊団のマークが入っている点も二人で気に入っている。
「結婚誓約書にサイン……はできますか?」
目の見えないを気遣って牧師が小声で聞いてくる。
「大丈夫。練習したもん」
ローが書く場所を教えると、はそこに自分の名前をサインした。暗闇で書いたような文字になるのは当然だが、それでも丸っこい字体がらしくて笑ってしまう。
「ちゃんと書けた? 読める?」
「ああ」
よくできました、と額にキスすると「誓いのキスはこれからですよ」と注意された。
「キャプテン早くいちゃつきたくて仕方ないんだねー」
「もう限界か。意外と忍耐続かない人だからなー」
「自分の結婚式からも気づいたら連れていなくなってそうだよね」
クルーが好き勝手言っているが、無視してローは誓いのキスをした。
「ん……」
が可愛いので触れるだけとか無理だった。腰を抱いて見せつけるようにキスするローに、参列席からブーイングが出た。
「誓いのキスってそういうんじゃないでしょ!」
「なんですかその公開プレイ!」
「船のルール破った結婚なの忘れたかー!」
さすがに長過ぎると押し返そうとしたの手を絡め取って、ローは舌を入れた。「こらぁ!!」と参列式から物が飛んでくるが、能力で華麗に打ち返した。
「だ、だめ……っ」
真っ赤になって腰が砕けたは懇願する。これに欲情しない男がいるわけなかった。
「結婚は成立したし、式はこれで終わりでいいな」
準備をしたクルーたちは大慌てだった。