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白夜に飛ぶ鳥【ONE PIECE】

第11章 死者の夢



 でものことだけは割り切れなかった。手放すなんて嫌だ。誰か他の男のものになるなんて考えたくもない。

「俺はここにいるから……何年でも、何十年でも待ってる。だから旅が終わったら、いつかまた来て欲しいんだ。と一緒に暮らしたい。そうしてくれるなら俺はのために何でもする」

 せめて約束がほしい。グランドラインにはそんな退屈な約束なんて吹き飛ぶほど刺激的なものが山程あると知ってる。の気持ちも変わってしまうかもしれない。
 それでも何か、未来に希望が欲しかった。は約束を破ったりしないと信じているから。

 ローの言葉に、は深刻な顔でうつむいてしまった。考え込むように黙り込んで、耐え難い思いでローは彼女の決断を待った。
 やがてゆっくりと、は首を振った。
 受け入れられなくて、ローは「頼む」と懇願する。

「約束してくれるなら何だってする。の好きなものを何でも用意して待ってる」

 ウソでもいいから約束がほしい。でもは強固に首を振るばかりだった。

「キャプテンのいない海なんか嫌だよ……」

 せっかく会えたのに離れたくない、とはローにすがりついた。

「私、邪魔? ならキャプテンがコラさんと居る時は離れてるようにするから。昨日は結婚しようって言ったのに、なんで海に行かせようとするの? 数年でも嫌だよ。キャプテンのいない海で生き残れる気がしないもん……」

 抱きついてくるの言葉にローは混乱した。

「海に行かせようとしてる訳じゃない。本当は行ってほしくないんだ。そばにいてほしい。でもは冒険が好きだろ。全部に行きたいって言ってたじゃねぇか」
「キャプテンが『どこに行きたい?』って聞いてくれたから。今までそんなこと聞いてくれた人がいなくて、キャプテンとずっと旅がしたいって思ったからだよ。……キャプテンのいない海なんか行きたくないよ」

 抱きしめながら、信じられなくて、手が震えた。

「冒険とは正反対の日々になるぞ。きっとすごく退屈で、嫌気が差すかも」
「じっと座って、計算とかしなきゃいけないの? 毎日? 一日中? 外に出ちゃだめ?」
「計算なんかしなくていい。外も好きなだけ出ていい」
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