第11章 死者の夢
れていい。全部俺が悪いから……泣かないでくれ」
に泣かれると自分が苦しいより何十倍も辛い。耐えられなかった。
「ごめん……」
どうやったら償えるかわからず、声をつまらせるローには首を振る。
「カナリアもジルもキャプテンのことが大好きなんだよ。その気持ちは私と一緒なの。私にキャプテンを独り占めする権利なんてないの」
の言いたいことがわからず、ローは困惑した。髪を撫でる手に頭をすり寄せ、辛くて仕方ないというように、は泣く。
「ジルは知的なお姉さんで、優しくて頼りになって、キャプテンが好きになっちゃうのも仕方ないの。カナリアは敬虔なシスターで、清楚で、キャプテンが好きになるのも仕方ないの」
「好きになったわけじゃない」
困ってローは繰り返したが、は信じてくれなかった。
「だって私、なんにもないもん。人より出来ることだって全然少なくて、キャプテンに好きになってもらえるところなんてない。キャプテンは女みたらしだし、色男だし、好きになっちゃう女の人はいっぱいいて、私が勝てるところなんてないの……っ」
いつも明るく振る舞うの弱音を初めて聞いた気がした。驚くと同時に、ずっと不安を抱えていたんだと腑に落ちて、ぎゅっとローはを抱きしめた。
「何もないわけないだろ。珀鉛病のことを話したのはだけだ。なら聞いてくれると思ったし、気味悪がったりもしないと信じられた。そんな風に思ったのは今まで会った中でだけだ」
どんなに言葉を尽くしたって足りない。
北の海で出会ってからまだ一年と経っていないが、ローにとってもうはかけがえのない存在になっていた。
「ホワイトガーデンで動けない俺のために、ブラッドリーに一歩も引かずに戦ってくれただろ。スイレンが命を投げ出してまで俺を救ってくれたのは、俺じゃなく、を信じたからだ。がいなきゃあの島で俺は死んでた。
セブタン島で、打ちのめされる俺のために好きだって言ってくれた。が居たから立ち直れた。この先もが居てくれれば何があっても乗り越えられると思ったんだ。