第11章 死者の夢
「ベポ痩せたね~」
「ダイエット成功だよ~! その分いっぱい食べられるの」
「豚に逆戻りだな」
「俺シロクマ! 豚は卒業だよ!」
愉快な仲間たちにコラソンが声を上げて笑う。
「森でいろいろ取ってきたよー!」
カゴいっぱいに秋の味覚を集めてきたクルーを見て、コラソンは感心した。
「みんなサバイバル得意だな」
「そりゃもう」
「集めてこないとキャプテン、ベポのお肉食べるって言うんだもん」
ベポの両腕をマフラーのように首に巻きながら、は船長の恩人に密告した。
「たぷたぷで美味しそうだったろ」
しれっと船長は言い放つ。船長としては厳しいらしいと察しながら、それでも慕われている様子に胸が熱くなる。
「コラさん、どうしたの? 煙が目にしみる?」
涙ぐむコラソンを心配して、目の見えないはずの彼女がすぐ気遣った。
「ローが愛されてて安心した」
涙をぬぐって破顔するコラソンに、マリオンが腰をくねらせた。
「そうなの! 船長を愛してるの! だから愛し返されたいの!」
もっと再会を喜んで~!とマリオンはローに抱きついた。無言で押しのけると、「ちゃんだと思って!」と無茶振りされた。
「無理があるだろ、それ」
「もっとちゃんと女装したほうがいい?」
「お前どこに行く気なんだ……」
「目指せサロン・キティの一番人気!」
「……じゃあキャプテンの愛人だね」
よっぽど恨んでいるのか、の声は低い。
「! そんなことするわけねぇだろ!!」
「したもん」
「だからあれは……っ、待て、わかった、先に話をしよう。ちゃんと説明する」
「やだ。バーベキュー食べるの」
将来に関わる重要な話よりバーベキューを優先されて、ローはがっくりとうなだれた。しかもコラさんの腕に抱きついているので(さらにその横からベポがに抱きついてる)、能力で無理やり引っ剥がすこともできない。絶対はわかっててやってる。
「ほら、イワナが焼けたぞ」
「コラさん、カボチャ好きですか?」
「おう!」
みんなとコラさんを構い倒して、ローが入る隙がなかった。早く独り占めしたいのに。