第11章 死者の夢
「よし、せっかくだからキャンプするか!」
「おー!」
「キャンプファイヤーしようぜ!」
「薪拾ってくる!」
放任主義の船長なので、クルーたちはたくましく楽しみを見つけてわいわいと支度した。
103.最後の宴
「コラさん、お顔さわってもいい?」
いいよ、と彼はイスに座って、の手を誘導した。
「コラさん大きいね! 何食べてそんなに大きくなったの?」
「そうだなぁ……好物はレタスとキャベツと、梅干しかな」
「キャプテンは梅干し食べたら人間は爆発するって言ってるよ」
「しないしない」
ローがそんなバカなこと言ってるのかとコラソンは笑った。
はコラソンのやけどに触って、「痛い?」と心配そうに小首をかしげた。
「雨の日はたまにね」
「今日は晴れててよかったね」
いい子だなぁと彼の目が言う。だろ、とローも笑って応えた。
「ほら、お茶」
「キャプテンが淹れてくれたお茶は貴重だね」
「ロー、俺は?」
「冷ますからコラさんは5分待って」
「コラさん猫舌なの?」
「いや、熱いお茶好きよ?」
「好きでも吹くからダメだって」
熱いお茶はフーフーしながら飲まなきゃダメだよ、とは実演しながらレクチャーした。ずいぶん年上の男が、背中を丸めて「はい」と聞いているのがおかしい。
「お茶の飲み方はそれぐらいにして、ヘイアン国で何があったか話してくれ」
放っておくとの話は際限なく脱線しそうで、ローは話題を戻した。
「……みんなが助けてくれたの」
お茶の入ったカップを両手で握って、はぽつりとつぶやいた。
「みんなって?」
「エリザとか……奴隷の頃の友達。キャプテンやベポとお別れして、寂しくて悲しくて毎日泣いてたの。ケトスの神託は膨大で、頭の上から足の先まで、爪とか髪にまでびっしり予言の情報が入ってて、私は私の体に入る隙間がないから、ケトスの夢の中にしかいられない。ケトスは私が退屈しないようにいろんな夢を見せてくれたけど、やっぱりキャプテンやみんながいないと寂しかった」
そしたら友達が来てくれたの、とは微笑んだ。
「五人で分け合えば、神託の負担も少ないからって。おばあちゃんが彫ってくれた入れ墨だよ、覚えてる?」