第11章 死者の夢
を知らない新入りたちがもてはやしている。ローは彼らを問答無用で海に放り込んだ。
「さわんな。俺のだ」
「私キャプテンのじゃないよ!」
「さわってないでしょ! どんだけ嫉妬深いんですか!」
海に叩き込まれた新入りたちが怒るが、ローはつーんと無視してを抱えてくるくる回った。楽しくて嬉しくて仕方なかった。
「うち恋愛禁止でしょ! キャプテンを海に放り込めー!!」
ウニの号令で、このまま黙って見てられんとクルーが殺到する。海に放り込まれた恨みのある新入りやマリオンまで加わった。なんだか楽しそうですねぇと丸メガネの学者までしれっと参加してくる。
ローは全員を残らず海に放り込んだ。圧勝だった。
「ダメだ、が絡むとキャプテン最強だ……」
「くそぅ、こんな理不尽を許しておけるかー!」
「船長だからって横暴だー!!」
クルーたちのブーイングにがおろおろする。そのことだが、とローは切り出した。
「ハートの海賊団はここで解散する。船は全員でどうするか決めろ」
え、と海から這い上がった全員が絶句した。まで目を丸くしてぽかんとしている。
「は俺といてくれ。結婚しよう」
「何その雑なプロポーズ!」
でもそれどころじゃなく、いろんなことがいっぺんに起きては混乱していた。あんまり可愛いのでキスする。びっくりしてビンタされた。
「いて」
「そんなことしてる場合じゃないでしょ!」
そうですよ、とずぶ濡れのペンギンが詰め寄った。
「解散とか、何考えてんですか!?」
「海賊よりしなきゃいけないことができた」
「何ですかそれ! ちゃんと説明してくださいよ!!」
シャチまで怒号を上げる。を下ろして、ローは説明した。
「この島で命の恩人に再会した。彼は弱ってる。誰かそばで世話する人間が必要だ」
「だからって……せっかくも戻ってきたのに」
旅がここで終わるなんて思ってもみなかった。悲しい顔をするベポに胸が痛む。みんな最高のクルーだった。
「無責任に放り出して悪いとは思ってる。でもなんと言われようと俺はここで降りる。船と財宝は好きにしてくれ」
そんな、と言ったきりクルーたちは沈黙した。