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白夜に飛ぶ鳥【ONE PIECE】

第10章 お別れ




(ウニ、いっそそっくりの人形作れないか?)
(作れるかもしれないけど、絶対余計に寂しくなるから作りたくない)
(キャプテンが人形に話しかけるようになっちまったらアウトだろ……)
(無言でミニベポの耳引っ張るのはいいのか……?)

 話し込んでいたら斬撃が飛んできた。

「喋ってねぇで働け」

 怒った船長に低い声で言われ、彼らはぱっと散って仕事に戻った。

「に会いたい……」

 荷物の積み込みをしながら、ぽつりとベポがつぶやく。食欲旺盛なシロクマは、仲良しの女の子がいなくなってから、食事も残すことが多くなってずいぶん痩せた。
 たぷんたぷんだった腹が日に日にへこんでいくのは見ていて心配になる。

「積み込み終わったらおやつにするから頑張れ、ベポ。かき氷機買ったから、これからはいつでもかき氷パーティできるぞ」
「俺のかき氷、ずーっと半分あげるから、と一緒に食べたい……」

 しょんぼりと大きなシロクマは背中を丸くした。ペンギンは黙って長い付き合いの仲間の肩を叩いてやるしかなかった。

「――出港!」

 本当に島に未練はないようで、号令をかけると船長はさっさとブリッジに入ってしまった。
 港が遠くなっていく中で、出港に気づいたらしいサロン・キティの娘たちが慌てて走ってくるのが見えたが、それさえ彼は一瞥にしない。

 らしくない態度は古参のクルーたちの胸をざわつかせた。

「船長カッコいいー!」

 新規のクルーたちは女に欠片の執着も見せない船長にしびれて、もてはやすが、それさえ彼は面倒そうに無視するだけだった。
 を甘やかしまくっていた船長を彼らに見せてやりたかった。


◇◆◇


(なんで会いに来ない……っ)

 それからの航海は順調だった。海賊を切り刻んだり、海賊を切り刻んだり、海軍を切り刻んだり。会いに来てくれない誰かの鬱憤を晴らすようにローは攻撃的で、片っ端からクルーを巻き込んでケンカを売り続けた。

(ちゃんと起きて生活してるだろ……!)

 に会いたくて寝すぎるのがいけないと言われたから、どうにか生活を立て直したのに。それともそんなにサン・マロウの女たちの一件を怒っているのだろうか?
 ならそれもちゃんと謝るから、顔を見せて欲しい。
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