第2章 私の従兄
猛禽類のような瞳、銀髪と黒髪が入り混じった髪は異質で幼い頃から惹かれていた。従兄として、年上のお兄ちゃんとしてくっつき回っていた。
ウザがらせず、逆にとても可愛がってくれたのだ。本物のお兄ちゃんのようで、バレーが上手で。好きなことに夢中な様子は、憧れに近い感情を持つようになって。
バレーの話を分かりたくて、本や試合を見た。私が話が分かるようになると、すごく喜んでくれて嬉しかったんだっけ。そして、徐々にバレーの熱に侵されていった。
「 杏菜…? 」
「 どうしよう…、さっきマネージャーはなしって言ったのに揺らいでるや。」
「 よし、そのまま揺らげ。」
すごく真面目に言われると、どうすればいいか分からなくなる。選択をして、失ったものを取り戻してほしいなんて。そんなことを言われるなんて、思ってもみなかったのだ。
授業前の予鈴がなる。話の区切りを告げるような鐘の音。
「 そうだ、今日部活の見学に来いよ。」
「 えっ、また急だなぁ。」
「 思い立ったら吉日、よし決まりだ!! 」
ガッツポーズをして、私の予定を決めてしまった。バイバイと手を振り、教室に帰ると白福さんが駆け寄ってきた。
「 どうしたの、木兎先輩と知り合いだったの? 」
「 あー、まぁね。ちょっとした知り合いなの。」
白服さんは、小首を傾げながら自分の席に戻っていった。次は古文、かぁ。寝ないようにしなくちゃね。机の中から電子辞書や教科書、文法書、単語帳…。よし、忘れ物はなし。満足して、窓からの景色を楽しむ。
「 ねぇ。」
あぁ、やっぱりきた。不自然にならないように、ゆっくりと振り向く。
「 なに? 」
「 木兎さんと知り合いなの? 」
「 うん。」
スゥッと、赤葦くんの目が細くなる。威嚇するような、そんな視線。
「 マネージャー希望とかだったら、あまり軽い気持ちで入らない方がいいよ。」
「 へっ…? 」
「 水原さんが考えてる以上に、かなりキツイから。」
それはアドバイス、それとも拒絶?グサリと、心の中の柔らかい部分を一息に刺されたような気がした。