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Dearest【降谷零夢】

第10章 君に愛を


『えと、それで今日はどうしたの?』
「あー……この前の話なんだけど……」
『この前の?』
「君との婚約。」
『あ……』

まさか今日その返事をしに来るなんて思ってもいなかった。
白紙にしようとしてるって伝えた方が良い……よね?

『あの、ね……』
「あれから考えたんだ。今の状態だと俺は愛だけじゃなく、この家にも迷惑を掛けるんじゃないかとか……君を守れるのかって……」
『その話なんだけど……』
「ん?」

真剣に考えてくれた零に負担を掛けてしまってる気がする。
今は潜入の方に集中したいだろうに、あの時あんな話が出てしまったから……

『(言わなくちゃ……白紙にするって)』
「愛?」
『あ、の……婚約の件だけど…………』
「うん」
『無かった事にしませんか?』
「は?」

顔が見れない。
でも、とても低い声を出したから怒ってるんだと思う。

「それは中々答え出さなかったから?」
『違うわ……』
「……俺を嫌いになった?」
『ううん……今だって零の事好きよ。』
「じゃあ、何で?」
『……傍にいたいし支えたいとも思ってる……だけど、私は零の重荷にはなりたくない。潜入中なのに余計な事を考えさせて、無駄な時間を費やして……』
「余計な事でも無駄な時間なんかでもない。俺にとってすごく大事な事だ。」

私の瞳を真っ直ぐに見つめてくる真剣な眼差しは彼の本心そのもの。

『(……どうしよう……嬉しくて泣きそう。)』
「重荷なんてならない……なるはずがないだろ?それに、また逢う事が出来たら2度と離さないって決めてたんだ。」
『……ずるいっ……』

我慢出来なかった涙が頬を伝う。
それを優しく拭ってくれた。

「もし断って、他の男に盗られるなんて後悔しかないからな。」
『わ、たしなんか……誰もとらないわ』
「元々、綺麗だった君が更に綺麗になった。そんな君を周りの男が放っておくわけがない。」
『そんな事ない……』
「あるさ。現に俺は君から目を離せないでいるんだから。」

私の頬を両手で包んで優しく微笑む彼に顔が赤くなるのが分かった。
この人に愛されてるだけで幸せ。

「だから俺と婚約してくれますか?」
『……良いの?』
「駄目だったら言わないさ。君を愛してるからその未来も欲しい……1番に優先出来ないけど、必ず守るから。」
『……全部、あげる。』








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