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Dearest【降谷零夢】

第9章 決着


安室side

愛がこっちを見たのは分かった。
だけど、顔を上げられないままでいる。

「(そうなれたら、どんだけ幸せなんだろうか。)」

彼女と結婚したいと思ってる。
今の僕に彼女を守りきるだけの力はあるのかと聞かれたら答えられない。

「(……彼女を1番に考えられないのも事実だ。)」

中々、答えを出せないでいる僕に兄妹は揃いも揃って溜息を溢した。

「透、お前深く考えすぎ。」
『そんなに難しく考えないで。』
「そういうわけには……」
『うーん、兄さん……透の性格考えたらすぐに答え出ないんじゃないかしら?』
「そうだな。コイツ頭固いし。」

幸紀は少し失礼じゃないか?と思いつつも、待ってくれる姿勢を見せる2人に感謝する。
本当はすぐにでも婚約という形を取りたい。
月日が経って彼女は綺麗さに磨きが掛かった。
そんな彼女を周りが放っておくわけがないし、何より隣を見知らぬ誰かに譲りたくはない。

「(そう思えるのに後一歩が踏み出せない。)」
「透、いつでも良い。お前の気持ちが固まったら教えてくれよ。」
「……僕、は……」
「毛利さん、それでも良いですか?」
「あぁ。安室、急に悪かったな。」
「いや……毛利先生が謝る事では……」
「俺が言い出さなければお前は、こんなに悩まなかっただろ?今日は帰るぞ。」
「……あ……」

苦笑しながら背を向ける毛利先生に申し訳なさを感じた。
何のしがらみもない僕ー俺ならすぐにでも返事が出来たんだろうな。

『あ、ちょっと待ってて下さい!』
「愛?」
『兄さん、毛利さん達を引き止めといて!』

そう彼女は言ってパタパタと家の中へ入っていった。
クイッと足元を引っ張られ、下を向けばコナン君が複雑そうな表情で僕を見ている。

「……どうしたんだい?」
「……安室さん、お姉さんの事好きじゃないの?」
「……好きだから悩むんだよ。とても大切な人だから……守りたいと思う人だからこそ。」
「それは……(バーボンだから?)」
「コナン君?」
「……ううん。」

何かを言い掛けて飲み込んだコナン君に首を傾げていると包みをもった愛が戻ってきた。

『これ、良ければ帰りながら食べて下さい。』
「え!良いんですか?」
『此方の都合で皆さんにお昼も出せていなかったので……』
「ありがとうございます!」

微笑んだ彼女は綺麗だった
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