• テキストサイズ

Dearest【降谷零夢】

第9章 決着


桐華のペンを拾った日から2人はレポート関係などで一緒にいる事が多くなり、色んな桐華を見て宗次郎は段々と惹かれていった。

「……宗次郎、何か隠してるか?」
「は?」
「最近、やけに図書館とか行くけど……そんなに勉強好きだった?」
「勉強は嫌いだ。」
「はは!じゃあ彼女でも出来た?」
「そ、そんなんじゃなくて……その……」
「はいはい。お前にも春が来たって事ね。」
「ちがっ!今度お前にも会わせるつもりなんだよ。」

顔を真っ赤にして祐一郎に言い放つ宗次郎。
数日後、言葉通りに桐華と会わせる事になった。

「初めまして、霧島桐華です。」
「初めまして……葉月祐一郎です。」
「えと……宗次郎君のご兄弟?」
「俺と祐一郎は双子なんだよ。」
「あんまり似てないね。」
「よく言われる。」
「ふふ、宜しくね!葉月君。」
「祐一郎で良いよ、此方こそ宜しく。霧島さん」
「私も桐華で良いよ。名字で呼ばれ慣れてないんだ。」

それから3人で過ごすのが当たり前だった。
何をするにも必ず一緒にいた。
それが崩れたのは卒業後ー。

「……い、ま……何て?」
「この家の次期当主は祐一郎とする。」
「父さん、僕は当主なんて柄じゃないよ。宗次郎の方が向いてる。」
「決まった事だ。」
「俺は必要ないってか?」
「そうじゃないんだ宗次郎、お前は祐一郎を助けてやってくれ。2人で力合わせてこの葉月家を守って欲しい。」
「……そういう事なら仕方ねぇな。」

昔からの仕来りで当主を決めなくてはならない。
実のところ祐一郎と宗次郎どちらにするか話は分かれていた。
だが2人の父親で愛の祖父は祐一郎しか考えていなかった。
宗次郎自身も父の言い分を素直に呑み込む事が出来たのだ。
だが、その数年後の事……

「宗次郎、今平気か?」
「んあ?構わねぇよ。」
「ありがとう。」
「あれ?桐華も来てたのか?」
「うん、久し振りだね。」
「最近こっち忙しくて連絡出来てなかったもんなぁ……」

昔より綺麗になった桐華に宗次郎は胸を高鳴らせ、更に想いを募らせる。
その募らせた想いは粉々に砕かれた。

「……俺達、結婚するんだ。」
「……は?」
「桐華とこの家から離れて暮らそうと思ってる……それに僕なんかよりお前の方が当主の器に相応しい。」
「な、んだよ……それ……!」

殴りたい衝動に駆られた
/ 56ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp