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Dearest【降谷零夢】

第8章 狙われた彼女


『(今……何が起こったの?)』
「くっ……」
「安室さん!」
『!れ……透!?』

私に覆い被さってる彼の腕から血が流れてるのに顔が真っ青になった。
そんな私を気遣ってか、彼が苦笑しながら頭を撫でてくる。

「大丈夫、少し掠っただけだから。」
『で、でも……!』
「何だ今のは……!」
「おじさん!外には誰もいなかったよ。」
「愛さんを狙ったのか……」

毛利さんは私が居た場所に刺さった矢を見ながら言う。
……私が狙われてるの?

「夏紀さんと真理子さんは何か心当たりありませんか?」
「……い、いえ……」
「とりあえず、透の手当てをしよう。」

毛利さんが夏紀さん達に聞き込みして、兄さんと蘭さんで睦月さんが持ってきた救急箱を開ける。
震える私の手を小さな手が掴む。

「愛お姉さん、大丈夫?」
『え、あ、うん……』
「指先冷たいし、顔色も悪いよ?」
『……だ、いじょうぶ……』
「……透、愛を奥の部屋に連れて行ってくれるかい?」
「……分かりました。」

コナン君が握ってる手とは反対の手を掴んで立ち上がらせる。
するりとコナン君の手が離れた。

「コナン君、彼女の手を握っててくれて有り難う。」
「……ううん、本当に大丈夫?」
「心配ないよ。」

そっと肩を抱かれて、兄さんが指定した部屋に入る。
この部屋は窓も無くて出入口も1つしかないから狙われる心配がないのだろう。

「……愛」
『……ごめ……なさ……!』
「僕は大丈夫だから、そんな我慢する位なら泣いて。」
『……ふっ……!わ、わた……私のせい……で……!』
「違うよ。君のせいなんかじゃない、君は狙われてたんだから悪くない。」
『私が……産まれてきたから……』
「愛、それ以上言うと流石の俺も怒る。」
『っ!』

声量は小さく、それでいて低い声色で私の言動を窘める。
だけど、頬にキスをして嬉しそうに微笑んだ。

「……遅くなったけど、逢えて嬉しいよ。凄く綺麗になったな。」
『……れ、い……!!』
「幸紀とも仲良く兄妹出来てて良かった、でもそんな綺麗になられたら俺も気が気じゃないよ。」
『……零も格好良すぎて……落ち着かない。』
「君にそう言って貰えるなんて光栄だな。」

おでこをくっ付けて笑う零を見て私も笑った。
この腕の温もりは夢じゃないんだと思えたから。


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