第1章 不思議すぎる夜咄①
「えっ……?」
その言葉に、カノは呆然とした。
「アンタ泣いてんじゃん。法螺話なのに、なんで泣いてるの?」
(欺けてない…?!)
の言葉に、カノは動揺する。
本当なら、今も彼女の目に映る彼は笑っているはずなのには、泣いている、と現実のカノのことを言ってきたからだった。
「な、なんで…?」
驚愕の表情を浮かべつつ、スッとカノの目が赤から茶色になる。と同時に、彼の目から涙が落ちた。
(あり、元から目が赤じゃなかったのか…)
そんなことを考えながら、は黙って懐からハンカチを取り出しカノに渡してやった。
「なんて言えばいいのかなー…アンタが話してた時ね、ちょっとだけオーラみたいなものが、なんかが引っかかって、それでね」
カノが落ち着いた後、はそう話した。
まぁ実際は彼の霊圧が変化したからなのだが、そんなことを話しても通じないだろうからオーラということにしたが。
「……怪物、か…」
ポツリ、と呟かれた一言。
それにカノは悲しげな表情を浮かべた。
「散々聞かされたな、その響き…でもさ。
いいんじゃないの、怪物?」
「え…?」
ポカンとなっているカノに、はニヤッとしつつ言う。