第5章 暗雲低迷
まだ明かりがついていて
外から体育館内はよく見える
目より耳が先に捉えた地響き
ボールは地面に着地してはまた上昇
ゆっくりとシュートを決める兄の姿
違和感
いつもと、違う────
思わず脚は体育館へと近づく
冷たい赤眼
相手は大きな図体を床に着けたまま
「征、くん…?」
微かな声は強くなりゆく雨水と一緒になり消える
始めた頃…出会った頃の楽しさは皆無
寧ろ無表情、活気を感じさせない
兄が兄じゃない
「璃依…?」
体育館入口に傍観者
名前を呼ばれて、思わず振り向く
誰にも聞こえなかったであろう声
会いたいと望んでいた天使