第5章 暗雲低迷
「…征十郎」
響く重低音の声。
寡黙な父が重い空気を破る。
「部活動の全国大会で優勝したそうだな」
「はい」
「学業の方はどうだ」
「問題ありません」
学業と部活動を両立することは当たり前。
赤司家の人間は誰よりも秀でてなければならない。
そんな教えはとうの昔から自身に浸透していた。
手に持っていたカップを皿へと移動。
それを見た使用人は新しく紅茶を注ぐ。
「…ならばいい。
両方この調子で続けなさい」
「はい、父さん」
また沈黙が訪れる。
慣れた空気。
お茶の香りが鼻をくすぐる。