第5章 暗雲低迷
隔週日曜日。
午後2時────。
父とのティータイム。
なんて、可愛らしいものではないが。
仕事が忙しい父と話す短い時間。
練習を終え、帰宅して直ぐに
父の書斎まで出向く。
閑散としたフロア。
使用人が扉を開ける。
空気が重い。
威圧的な空間。
「…」
視界に入る。
厳格な面持ち。スーツを着たいつも通りの父。
軽く会釈をして席へと脚を動かす。
父と対面するように反対側に座る。
机が長いため相手の表情は読み取れない。
交差しない瞳。
使用人がカップに紅茶を注ぐ。
お礼を言って淹れたてのアールグレイを口に運ぶ。
ベルガモットの香りがふんわりと漂い、
すっきりとした甘さが喉を通る。
少しだけ気持ちが和らぐ。