第3章 3部(裏有)
「は元気だった?」
実際シモンに会うのは久しぶりだった。
「元気だよ。毎日そこそこ忙しいし」
「そっか」
シモンみたいに肩を竦めてみせると、シモンも「俺も忙しいよ」と先程と同じく肩を竦めて見せた。
数年前遂にカミナ像が完成し、モニュメントとしてこのカミナシティの公園の中央に置かれている。
先程も言ったが、この像を作ったのはシモンだ。
忙しい合間を縫って完成させたカミナ像は、巨大な腕を伸ばし天を突いている。
「アニキが一番していたポーズだから」
と、完成時にシモンが笑っていたのを思い出した。
随分前から総司令として頑張っているシモン。カミナ像を見上げて思うこともたくさんあるのだろう。
それは私も同じで、この像が唯一今でもカミナを思わせてくれるものだ。
二人、口数も少なく静かにカミナ像を見上げた。
昼間なのに静寂が訪れるのは公園の木々のせいだろうか。
横のシモンをそっと伺うと、眉を寄せてはいるが優しい目をして像を、空を見上げている。この目をしたシモンはもう何度も見ている。
「…シモンは今何を考えているの?」
分かってはいたが、意地悪く聞いてみた。
「…何だよその質問」
唐突だった私の問い掛けに、ぎょっとしたように視線を私に移す。
身長はとっくに追い越され、見上げるようになってしまっていたシモンに、にっと笑いかけた。
「当ててあげようか。ニアの事でしょ」
「…は何考えてるのさ」
「内緒」
口を尖らせたシモンに笑い返す。シモンはすぐに顔に出る。
「俺も当ててやるよ。…はアニキの事でしょ?」
「……」
意地悪を仕返されぐっと言葉に詰まった私に、シモンは得意そうに鼻を擦った。
「……!」
その仕草に唐突に目頭が熱くなった。
「えっ、ちょっと!? なんで泣いてんの!? やだよ俺が泣かしたみたいじゃんか!」
気づけば涙が雫になっていた。
私の様子に狼狽するシモンに泣き笑いしてしまう。
「…ごめんごめん。大丈夫」
「本当? あー…びっくりさせないでくれよ…」
を泣かせたなんてニアに怒られるよ、と頭を抱えてカミナ像を見上げるシモンに再び笑いながらこっそり目元を拭った。
シモンは最近、どんどんカミナに似てきた。