第3章 3部(裏有)
「…耳、弱いのか?」
「…!」
舐りまわす合間に囁かれるが、とてもじゃないけれど答えられない。
元々返事は期待していなかったのだろう。開けていられなかった目を微かにこじ開け、その隙間でカミナを振り向くとなんだか楽しそうに笑っていた。
「…なんで笑ってるの」
「そりゃ楽しいからだ。好きな女を好きなようにしてるんだからな」
「…そんな」
好きな女という単語に照れるが、内容に思わずへの字口になる。そんな私を見下ろしてカミナがまた笑った。
「好きだぜ、。もう止めらんねェけど良いか?」
幽霊だけどしてェモンはしてェんだ! と、わははと豪快に笑ってから私に口付けを落とした。
「…うん」
カミナに答え、私からも口付ける。
「お前初めてか? 痛くしちまったら悪ィ」
「……」
恥ずかしさのあまり返事は出来ずこくこくと頷くだけだが、カミナは破顔して私を抱きしめた。
左手は私の胸元のまま、カミナの右手が残ったタオルを剥ぎ取った。
「あの…せめて暗くしてもいい…?」
明かりが点けられたままだったので照明を消して欲しいと懇願する。
「嫌だ。お前の全部が見てェからな」
あっさりと断られ赤面するが、そのまま固く抱きしめられたのでどうしようもない。
バスタオルをぽいと放り捨て、カミナはその右手を私の下半身へと進ませた。
固くてごつごつとしたカミナの指先が、じとりと熱を持つ私の下半身に宛がわれる。
「――ひゃあっ!」
初めての刺激に情けない声が漏れた。恥ずかしくて口をまたも手で覆う。
「だから声我慢すんなって」
「っ…やだ、恥ずかしいから…!」
「いいから。声、聞かせろよ」
「…んっ」
カミナの口が耳を食んだ。耳腹を軽く噛まれ背筋が甘く痺れる。
必死に膝を合わせるが、下半身の奥、熱を持ちつつも堅く閉じていたそこは、カミナの指先でゆっくりと解されていく。
「……は…」
次第に荒くなる息と、段々大きくなってくる掻き混ぜる音。水音にもなりそうなその音は、静かな部屋の床に落ちて広がる。