第6章 歓迎会
部屋に戻るなり、女官達に紅覇達との鍛錬で汚れた衣服をギョッとした目で見られてしまい、そのまま湯浴みに直行されてしまった。
想像以上に時間が経っていたようで、テキパキと手際よく新しいドレスに着替えさせられ、髪も整えられ、化粧も施された。
鏡の中の自分はまるで先ほどとは別人だ。いつもよりも大人っぽく見える自分の顔は見慣れないものだ。それに着替えさせられたドレスも煌に来て初めて着たものよりも幾分も豪華に見える。
(こんなに高価そうなもの…。良いのかな。私なんかの為に…。)
引き取って貰った身である故、こんなにも待遇を良くして貰えるとは思わず、戸惑ってしまう。
チャーシャは流石にお留守番なのか、先に食事が与えられていた。
散々鍛錬したおかげか、お腹が空いた。何か食べるものをと探したが、余程時間が無いのか、女官に話しかけれる雰囲気では無かった。
全ての準備が終わった頃、部屋の扉がノックされ、護衛の兵士が「時間です」と声を掛ける。
いつもと着慣れぬ服装に転げてしまわないか心配になりながらも、女官と兵士達に連れられて大広間へと向かった。