第12章 遭遇
その後、勉強は夕方まで続き冬華は奈々の家で夜ご飯をご馳走になった。
「おばさん!お邪魔しました!夜ご飯のハンバーグもとても美味しかったです!ごちそうさまでした!」
「いいえ〜。受験生は体力も大切だからね!たくさん食べて嬉しかったわ〜またいらっしゃい!」
「はい!それでは失礼します!奈々、またね!」
「うん!気をつけて帰ってね!」
会話を終えた冬華は奈々の家を出て帰り道を歩いていた。
すると途中の河川敷で異様な光景を目の当たりにした。
「オラオラ、かかってこねーならこっちから行くぞぉ!」
「ヒイィ!勘弁してくださいぃぃ」
「問答無用だゴルァ!」
「グェッッッだ、誰かぁあ!!助けてくれぇえ!」
しばらく様子を伺うと何やら喧嘩が始まろうとしているようだ。
しかも1人対3人という圧倒的に不利な状況だ。
(うわぁ、勉強帰りにめんどくさそうな状況に居合わせちゃったよ。気づかれないうちに帰ろうかいや、でも…)
冬華は巻き込まれないようにと一目散に立ち去りたがったが、それ以上に放っておくことができなかった。そして___
「……ちょっと、人数が偏ってる喧嘩って明らかに不利じゃないの。タイマンでやりなさいよタイマンで」
「あぁん?なんだテメーは。」
「そんなの誰だっていいでしょ。」
「俺たちにたてつこうってか?」
「そーだ。地元じゃ有名なラグナレクに所属してる俺らになぁ?」
彼らは冬華が以前勧誘されたラグナレクに所属しているという。
「ヒ…ヒィイイ!」
チンピラと話してる間に先程まで追い詰められていた男は逃げ出した。
「おい、逃げられちまったじゃねーかよ。どう責任取ってくれんだ?」
「そーだ、女だからって許されると思うなよゴルァ」
「…ふ、責任ねぇ、いいわ。さっきの人の代わりに私が相手になってあげる」