第2章 喫茶店
手を掴んだまま、ゆっくり少年のポケットに手を伸ばす。
少しずつ焦りを大きくしていく少年。
もうちょっとーーー
「おや、コナン君じゃないですか。どうしたんです?」
「……!」
「あっ、昴さん!」
もう少しでポケットに手が届くという時、店内からさっきのイケメンが出てきて思わず手を止めた。
その隙に手を振りほどいた少年が、彼の元に走り去る。
「どうされたんです?コナン君が何かしました?」
「いや…その……」
この二人知り合いなのか、偶然。
流石に大人の前で「この子が私から何か取った」なんて、強引に手を突っ込む事は出来ないか。
そもそも取られて困るものも身につけていなかったし、大丈夫だとは思うけど……。
でも何か見落としてる気がするんだよなあ……。
「何でもないです。引き止めてごめんね」
「ううん!僕もいきなりごめんね!」
軽く頭を下げつつ笑顔を見せて、その場を後にする。
二人から顔を背けた瞬間、自然と私の顔からは笑顔が消えた。
コナン君と昴という男性……。
男の方はあんまりだけど、コナン君がやっぱり胡散臭すぎる。
本当に子供かと疑いたくなってしまう、何かがある。
言動がまるで演技みたいだし。
まさかあんな子供が組織に関係があるとは思わないけれど、複雑な事情がなければあんな子供には育たないはず。
家庭環境がそれほどに最悪なのかな。
いや、それじゃ何か納得出来ないなにかがある……。
思いつくはずもなく、しばらくして私はコナン君について考えるのをやめた。