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【名探偵コナン】stimulation【R18】

第1章 月の夜




それは綺麗な月夜のこと。
時計の長針と短針が夜の11時を過ぎて重なる頃、一人の男がベッドの上で私を馬乗りになって押し倒す。
興味なさげに私は、彼の熱烈な視線を無視して秒針と共に音を刻む振り子時計へと目を向けた。


私の家には、アンティーク好きな知人から送られてくる古臭い家具が沢山ある。
古臭いというのは言い方が悪いかな。
そう感じるだけで技巧も凝らされてるし、お値段もそこそこらしいから。……興味はないんだけどね。


「あんたって秒針みたい」
「はい?どういうことですか、それは」


ふと思いついたことだったけれど、どうしてかこの言葉を眼前の男に突きつけたかった。
いつもの穏やかな声色が、随分と荒々しくなる。
お得意の色仕掛けが失敗したくらいで、ムキになってるんだろうか。
だからそういう所だよ、と思いつつ視線を男の目に合わせた。


「三つの針で一番要らないのに、唯一音が鳴る。意味…わかる?」


ニヤッと口角を上げて、嘲てみた。
月明かりに照らされたブルースカイの瞳が、一瞬怒りに揺れる。
この男のポーカーフェイスが崩れる度に私は、やっぱりこいつはこういう所が残念だと思わざるを得なかった。


「僕が“使えないくせによく喚く”とでも言いたいんですか?」
「ご名答。頭だけはいいんだね」


次は声を零して笑う。
普段は決して表情を崩さないこいつが、私の挑発ひとつで簡単にグズグズになるのを見るのは楽しい。
本当、こんなのでよく潜入捜査なんて出来てるなと思う。
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