第2章 The last scene
それでも何一つ説明しない俺は、ずるい奴だと罵られても仕方ない。
久しぶりに会う俺を見るの瞳は、一瞬ホッとしたように歪んで今にも泣き出しそうになるのに、いつもギリギリでこらえて笑ってくれる。
俺はきっと身も心も、のくれる優しい感触に甘えすぎている。
「」
「うん?」
「そろそろ反撃させろよ」
首に回されていた手を自分の手で絡めとって、ベッドに縫いとめた。
に顔を寄せると、ゆっくりと目を閉じた。
少し開いた唇に唇で触れると、華奢な身体がピクッと震える。
初めてキスをしてからもう随分と月日は経つけど、いつまでも初々しい反応に体内の熱を煽られる。
「ん・・・っ」
舌で舌を絡め取ると、繋いでいた手がぎゅっ、と強く握られた。
“アイスドール”
イーストリバー沿いにある眺めのいいカフェでバイトをしているを、常連の客達はそう呼んでいる。
外見の美しさはもちろんのこと、誰がどんなに甘い言葉を囁いても決してその冷静な表情を崩さない。
まさに凍りついた人形のようだった彼女が、今は自分の腕の中で頬を染めたり、余裕を無くして声を上げたりする。
他の誰も知らない、自分だけが知っているの姿だ。
「・・・はっ・・・ぁ、しょ、ショータ・・・ぁ、待って・・・息、できな・・・」
息もつかせぬほど深く口内を貪っていると、苦しげな台詞と同時に、とても抵抗とは呼べない弱々しい力で胸を押し返された。
聞こえなかったことにして、さらに激しく舌を絡めると、諦めたように身体から力が抜けた。
やりすぎたかと唇を離してみると、の薄く開いた瞳が月の光に照らされて、碧や金にきらめく。
はぁ、はぁ、と息を切らしながら白い胸が上下して、目尻にはうっすらと涙が浮かんでいた。
「・・・・・・・・・」
なんて、綺麗なんだろう。
細く柔らかい白金の髪を指で梳きながら、じっと見つめる俺にはほんの少し首を傾げた。
「ショーター・・・?」
少し落ち着いた様子のが、優しい声で自分の名前を呼ぶ。
再び両手が伸びてきて、両側から頬を包まれた。
「大丈夫だよ、ショーターの好きなようにして・・・」
微笑んだが、俺のなけなしの理性をブツンと切った。