第4章 Sunshine
それから。
何となく・・・ホントに何となく、俺はカフェに通うようになった。
別に他の奴らみたく、アイスドールに会いたくて・・・とかそんなんじゃない。
このカフェからの景色が気に入ったのは本当だし、コーヒーの味だって悪くないからで。
今日だって、彼女が姿を見せないなぁなんてそんなことを思ったりはしていない。
断じて、そんなことは無い。
無い・・・・・・・・・はずだ。
「さぁ、どうだかな」
翡翠の瞳が意地悪げに俺を見る。
俺は心の中を読まれでもしたのかと思って、慌ててサングラスをかけ直した。
「なっ・・・んだよアッシュ、オレは別になんも言ってねぇだろ」
アッシュがチラ、とスマホで時間を確認する。
「さっきから心の声がダダ漏れてるぜ、ショーター。おかげで気になって読書が出来ねえよ。あぁ、ちなみに今頃彼女は多分セントラルパークで絵を描いてて、カフェでは夕方からのシフト。帰り暗いから送ってやれば?」
察しがよすぎる親友は自分の言いたいことだけを言って、分厚い本で顔を隠した。
「なんでオマエがそんなこと知ってんだよ!?」
・・・・・・・・・もう返事は返ってこない。
アッシュは凄まじい集中力と共に、本の世界へ旅立ってしまった。
そしてアッシュの言った通り、彼女はそれから一時間後の16時に店の奥から出てきた。
こちらを視界に入れながらも、何も言わない。
いつもそうだ。
たまに注文のやり取りはするけど、他の客同様、特別な会話は無い。
「はァ・・・」
マジで何しに来てんだ?俺は。
・・・まぁいいか。
気分のままに行動すんのは嫌いじゃねぇし。
今日こそ読書でもするか、とズボンのポケットから読みすぎてボロボロになった本を取り出した時だった。