第3章 Icy doll
「ぶえっ・・・くしゅん!」
自分のくしゃみで驚いて目が覚めた。
カラフルなパラソルを下から見上げている。
硬いコンクリートの上で後頭部をさすりながら上半身を起こす。
俺、どんだけ寝てたんだ?
まだ日は沈んでいないが、太陽の位置からして1時間〜2時間は経っているだろう。
・・・?あれ、椅子がない。
パラソルの下、小さな椅子の真横に寝っ転がったはずなのに。
辺りを見回し、少し離れたところに居た人間と目が合った。
先程のくしゃみに驚いたのは自分だけでは無かったようで、その目を見開いてこちらを凝視している。
「あっ!」
“アイスドール”と、危うく呟きそうになって寸前で飲み込んだ。
そう、そこに居たのはさっきコーヒーを運んできた、彼女だった。
空と同じ色の青い瞳が、真っ直ぐにこちらを見つめている。
瞳に射抜かれる、とはこのことを言うのだろうか。
時間が止まったような気がして、俺はすぐに立ち上がることすら出来なかった。
彼女は公園の方を向いて小さな椅子に腰掛け、大きなキャンバスに向かって、絵を描いていたのだった。
ーTo be continued...ー