第12章 12
結局アーサーに言われるままブティックで全身コーディネートをされてしまった。
店員「本当にお似合いです!」
「綺麗なドレスに装飾品…だけど…」
試着室の鏡を見ながら考える。
これ、かなり高価なんじゃないかな…?
お金のことはあまりわからないけれど、少なくともクレープ屋さんで見た数字より0がかなり多い。
「アナスタシア?着替え終わったー?」
カーテンの向こうからアーサーの声がする。
「あっ!一応…」
そう応えると、カーテンが開かれる。
アーサーはわたしの姿を見て一瞬目を見開いた後
「イイね。すごーく綺麗。これ、全部くださーい。」
待って、今なんて?
店員「ありがとうございます!」
「待ってよアーサー!私こんなに高価なもの買えない!」
慌てて断ろうとするも…
「俺がプレゼントするんだからダイジョーブ。あ、そうだ。せっかくだしこの格好に合わせて髪もセットしてもらおうか?」
店員「かしこまりました、それではこちらのお部屋へ…」
「だから待ってってば!貰うのも一緒だよ!こんな高価なもの貰えない!」
「もー、大人しくして?お詫びって言ったでしょ?おねーさん、セットよろしくお願いしまーす。」
そのまま半ば強引に別室へ連れて行かれてヘアメイクにお化粧をされることになった。
……
数十分後
お姉さん「本当に綺麗です…」
店員「彼氏さんもきっと驚きます!」
私の髪は綺麗にセットされ、メイクをされた。
鏡を見ていないからよくわからないけど…なんだか緊張してきた…
「あの、やっぱり恥ずかしっ」
「アナスタシアー?入ってもいい?」
アーサーの声。
「えっ待って…!」
心の準備が出来ておらず、静止しようとするも…
ガチャリ。
お姉さんの手によって無情にも扉を開かれた。
外からの光に一瞬目を細める。
目を開くと、アーサーの姿。
「…わーお。」
少しだけ声を発したまま、黙り込むアーサー。
「……なにかヘン?」
不安になって聞いてみる。
「全然。綺麗すぎて驚いた。」
「な、なにをっ…」
「本当。キミはいつも綺麗だけど、今日は綺麗すぎて怖いくらい。」
真剣に告げられる言葉にどうしていいかわからなくなる。
「何言ってるの…!恥ずかしい、よ。」
「ほんとーに綺麗。今すぐみんなに見せびらかしたいくらい。」