第12章 12
「そー、誰かさんがこの子のこと押したりしたせいで、俺のクレープ落ちちゃったじゃない。」
そう呟くアーサーの視線が少し鋭くなり、押し寄せてきた女達を見詰める。
?「な、なによ!そんな下品な女のどこがいいの!?」
また下品って…
「この子を悪く言わナイで?俺の大切な子なの。
それに、急に押し寄せてきて人のことをスラム出身とか汚いとか…
そんなことを言うキミたちの方が下品じゃないかなー?」
「アーサー、私は大丈夫だから!」
厳しいことを言うアーサーを止めようと思わず口を挟む。
「キミが大丈夫でも、俺が大丈夫じゃナイ。
でもキミが許すなら俺はもう何も言わない。ホラ、こーんな優しい子のどこが下品なのー?」
アーサーはいつもの調子に戻り女の人たちに問いかけた。
女達「っ!もういいわよ!行こっ!」
そのまま女達は逃げるようにその場を去って行った。
…
女達が去った後
「アーサー、ありがとう。庇ってくれて嬉しかった」
「ごめんね、俺のせいで嫌な気持ちにさせて…」
「えっ!大丈夫だよ!あんなの全然気にしてない!
私も落ちたものを食べようとしたし…下品って言われても仕方ないと思う!」
アーサーがくれたものだし、せっかくお店の人が作ってくれたし…
捨てるのはなんだか嫌だった。
「キミは優しいね。でも、落ちたものは食べちゃダメ。
お腹壊したらどーするの?」
「大丈夫だよ、あんまり体調不良にならないから!」
「なーにそれ?それでもダメ。心配しちゃうでしょー?
それとも俺に心配されたい?」
アーサー、いつも通りだ。良かった。
「そんなこと考えてないよ!でもアーサーと分けるはずだったのにごめんね…」
「いーの。俺はさっきので充分。」
さっきの…?
!!
思い出して頰が赤くなる。
「さっきの……ちょっと恥ずかしかったです…」
「そーんなウブな反応されたら俺までドキドキしちゃうじゃない。
かーわいー」
「もう!今度ああいうことをする時は前もって教えてよね!」
「なーに、予告したら何してもイイの?」
「違う!もう…!」
「あはは、ごめんごめん。キミの反応が可愛くてつい、ね。
そうだ、お詫びさせてよ。ワンピース汚れちゃったでしょ?
新しいのを見に行こう。」
「そんなの…!」
「いーから、付いてきて」