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落花

第12章 12





う…視線と言葉が痛い……

思わず俯いてしまった私を見た女達は…



?「やだぁ、泣いちゃった?」
?「私達が悪いみたいじゃない!でもこれに懲りたらアーサーには近づかないことね!あんたみたいな下品な子と一緒に居るなんて、アーサーが恥をかくわ〜」


下品って…

確かに、落ちたクレープを食べようとしたけど!
でも、せっかくアーサーがくれたクレープだったのに…


それに結局アーサーは一口も食べられなかった…


「アーサーごめんね、せっかく買ってくれたのに落としちゃった…
あっ、でも私伯爵から貰ったお金が少しだけあるから、同じのを買ってくる!

アーサーも結局食べられなかったし…だから、落としちゃった方は私がっ…!」


そう言って、もう一度クレープ屋さんに向かおうとする


?「まだ言ってるわ、落としたものを食べるって本気なの?なぁにこの子?スラムの出身?ねぇアーサー、なんでこんなのと一緒に居るのよ?」


こんなのと、と言われて少し傷付く。
私…アーサーに恥をかかせてる。



アーサーが選んでくれたワンピースにはクレープを落とした時にチョコレートソースが付いてしまった。私の手も、落としたクレープを拾った時にクリームが付いてしまいベトベトしている。

自分の姿を客観的に見ると、相当酷かった。
途端に恥ずかしさが込み上げる。


「アーサーごめんね…私……
ううん!あの、先に帰るね!」


これ以上アーサーに恥をかかせたくない。


そう告げて逃げるように立ち去ろうとすると、それまでやんわりと女の子達をかわしていたアーサーに腕を掴まれる。

「えっ、アーサー?」

そしてそのままクリームでベタベタした指を舐められる。

「っ…!な、なにを」

突然の行動にドギマギしていると、アーサーの舌が今度は私の唇の端を這う。

「んっ…!」

チロチロと這わされる舌に顔を赤くしていると…


「ん、ご馳走サマ。やっぱりキミの言った通り。クレープ、甘くて美味しいね」


「あ…クリーム、舐めたの?」

びっくりした、そういうことか…





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