第12章 12
お店の人からクレープを受け取る。
「すごい…」
私の手にはホイップクリームとチョコレートソースを掛けられた苺が沢山乗ったクレープ。その上にはオマケにつけてもらったアイスクリームが乗っている。
「キラキラしてて、いい匂い…」
うっとりと見つめていると
「ホーラ、早く食べないとアイスが溶けちゃうよー?」
アーサーの言葉に我に返る。
「大変!アイスが溶けてきちゃった!」
慌てて口に運ぶと…
冷たいアイスクリームと、苺の甘酸っぱい味が口に広がる。
ふわふわのホイップクリームとチョコレートソースもとっても合う。そしてそれを包むほんのりと甘いモチモチの生地。
「んっ!美味しい!」
美味しくて、幸せ…
思わず頰を綻ばせる。
「ハジメテのクレープはどう?」
「とっても美味しいよ!」
ニコニコしながらアーサーに答える。
「そー?良かった、俺にも一口〜」
アーサーが私の持つクレープに口を近付けようとすると…
?「あれ?アーサー?」
?「本当だ!アーサーが居るわ!」
前の方から沢山女の人が寄ってくる。
「キミ達は…」
声に気付いたアーサーが女の人を見つめる。
?「もぉ、最近お店に来てくれないし寂しかったわ」
?「今日はどうしたの?アーサーを昼間に見つけるなんて珍しいわね!」
キャーキャー言いながら露出度の高い格好をした女の人がアーサーの身体に触れる。
波のように押し寄せる女の人達に押される
ドンッ!
「わっ!」
押された衝撃で、私は手に待っていたクレープを落としてしまう。
「あっ!まだいっぱいあったのに…!」
慌てて拾い上げるも、地面に落ちたクレープはぐしゃぐしゃになり、ホイップクリームには砂が付いていた。
どうしよう、砂を避ければ食べられるかな…
クレープを見詰めながら真剣に悩んでいる私の姿に気が付いた女達。
?「やだ、なにこの子?アーサーの友達?」
?「落ちたクレープを食べようとしているわよ〜汚いわね」
チクチクとした視線を全身に感じる。
「でもっ…!砂を避ければまだっ…」
せっかくアーサーが買ってくれたのに。
?「信じらんない!ねぇアーサー、こんな子放っておいて私たちと遊びましょ?」
?「そうよぉ、こんな食い意地の張った女…アーサーが可哀想!」