第10章 10
引き摺られるように来る時に見たステージまで連れて行かれる。
そしてそのままゴミのように放り投げられる。
「っ!」
放り投げられた衝撃で、ステージの真ん中、観客にこうべを垂れるようにうつ伏せになる。
痛い、怖い…
起き上がろうにも、手足が拘束されていて身動きが取れない。
恐怖のあまり泣いてしまいそうになる。
司会「さぁ、これが本日の目玉商品!
瞳の色はローズピンク、肌は透き通るほど白く、容姿は美しい!
おい、容姿をみせろ。顔を上げさせろ!」
司会者の声で、髪を掴まれ無理矢理顔を上げさせられる。
私の瞳に、仮面を付けた無数の観客の姿が写る。
誰も彼も、嫌な微笑みを口元に浮かべ私を見下ろしている。
限界だった。私の瞳からは涙が溢れる。
司会「さぁご覧下さい!この美しい容姿を!恐怖のあまり泣いてしまっていますが、泣き顔も美しいでしょう」
観客「おい、頰にキズがあるぞ!誰だ商品に手を出したのは!」
観客「初めて殴るのは主人の筈だろう!?」
司会「申し訳ありません、今の今まで歯向かっていたため、少し躾を…」
司会と仮面をつけた観客の掛け合いが始まる。
どうしてこんな目に合わなくてはいけないの。
お屋敷に帰りたい、アーサーに会いたい。
きっとここで買われたらもう二度とあのお屋敷には戻れない。
せっかく帰る場所が出来たのに。
悲しくて怖くて涙が止めどなく溢れる。