• テキストサイズ

落花

第10章 10




私がまだ不満げだと思ったのか、テオさんが意外なことを口にする。


「えっ…?テオさん…?何か悪いものでも食べましたか…?」

あまりに意外な言葉に、私は本気でテオさんの体調が悪いのではないかと思った。


テオ「は…?チッ、せっかく褒めてやったのに。悪いものなんか食べていない。」


私の言葉を聞いたテオさんは不機嫌そうに呟く。


本当に褒めてくれたんだ、嬉しい


「本当ですか?嬉しいです!」

私は身につけているパステルブルーのワンピースの裾を少し持ち上げる。

ふわっと広がった裾と、たっぷりのレースが揺れる。


「でも意外です、テオさんって結構可愛い格好が好みなんですか?」


今日のワンピース、結構フリフリしてるんだけど…


テオ「あまり調子に乗るな。馬子にも衣装って言ったんだ。」

しかしテオさんは私の問いには答えてくれない。

「マゴ…?」


テオ「馬子にも衣装。わかりやすく言うと、駄犬にダイヤの首輪。」


「なんだか、そう言われるとあまり褒められている気がしないです…」


テオ「さぁ?どうだろうな。今日のお前はダイヤの首輪をした犬だ。お行儀よくしろよ。」


お行儀良くって…


「やっぱり褒めてないですよね?せっかく嬉しかったのに…」


私は唇を尖らせる。


テオ「どうだろうな?…おい、そろそろ行くぞ。雨が降りそうだから傘を持て。」

テオさんの言葉に私は空を見上げる。

空は晴れて透き通った青空が広がっている。


「え?こんなにいいお天気なのに…?」


雨が降りそうには見えないけど…


テオ「いや、今日は降る。濡れた犬になりたくないなら傘を持って行くんだな。ほら行くぞ。」



半ば強引に傘を持たされる。


まあ、本当に降ったら困るし…大人しく言う事を聞いておこう。






/ 170ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp