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落花

第10章 10




「ん…」

眩しい光に目を覚ます。


「朝…?」

寝起きの頭はまだぼーっとしている。

なんだか、酷く長い時間眠っていた気がする。


長い睡眠で身体が怠い。

そんな身体を無理矢理起こし、頭を働かせる。


「…ああ、昨日は」


ぼーっとしていた頭には昨日の出来事が浮かぶ。


昨日は午後からアーサーの部屋へお邪魔した。

そして、早めの食事を摂り合った。


「それだけ…。」


食事にしては随分と色っぽいものを感じた。

でもそれには気がつかないふりをする。


「今日はテオさんのお仕事に着いて行くのだったわね。」


胸に浮かんできた甘い期待を押し込め呟く。


昨日のは、何でもない。ただの食事。それ以上でも以下でも無い。



それっきり気にしないように、適当な理由をつけ胸の奥底に閉まって鍵を掛けた。





……



支度を終えて、テオさんの元へ向かう。

「テオさん、お待たせしました。」

決めていた時間より早く向かったつもりなのに、テオさんは既に待っていた。


テオ「遅いぞ駄犬。取ってこいも出来ないのか?」


…朝から絶好調なキレですね。


「お待たせしてごめんなさい。でも時間には間に合って…」

私は自分に非がないことを伝えようとする。


テオ「キャンキャン喚くな。まあいい、行くぞ。」


もう慣れたけど、この人は本当に私のことを犬だと思っているんじゃない…?


不本意な扱いに、少し眉をひそめる。


テオ「…なに変な顔してるんだ。」


変な顔って…


「別になんでもありませんけど…」

テオ「なんだ?言いたいことがあるならハッキリ言え。」


犬扱いしないで…っていうのはきっと無理だろうな…

でも、約束の時間を守ったのに叱られるのは納得いかない。


「私、ちゃんと時間守りました…」


その言葉に、テオさんは意外だったというように目を丸くする。


テオ「…犬扱いするな、って言うんじゃ無いんだな。
まあ、確かにお前は約束の時間にちゃんと間に合っている。悪かったよ。」


意外なことに、テオさんはあっさりと謝罪してくる。


「…へ?」

その返答に私の方が驚いて、思わず変な声を上げてしまった。


テオ「なんだよその間抜けな声は。まだ不満か?
…あぁそうだ、その服装は良いんじゃないか。どうだ?満足か?」





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