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落花

第8章 8




楽しい時間に身を任せていると…

ギィィ、と音を立てて食堂の扉が開かれる。


入ってきたのは…

「あれー?セバスとテオに…アナスタシア?」

中に入ってきた人物は私の姿を見て目を丸くする。


「アーサー!」

セバスチャン「アーサーさん、お疲れ様です。食事にしますか?それともルージュだけに?」


「んー、ホントはコーヒーだけ飲もうと思ったんだけどー…」


アーサーはテオさんとその隣に座る私を交互に見つめる。


テオ「お前がこの時間にここに来るのは珍しいな。…どうかしたか?」


テオさんはアーサーに問いかける。


「ね、テオってばいつのまにアナスタシアと仲良くなったのー?
フィンセント以外を隣に座らせるなんてめずらしー」


テオ「はぁ?別に仲が良いわけじゃない。この駄犬がお前の精力以外ほとんど口にしないと聞いて憐れに思ったんだ。」


駄犬、という呼び方にアーサーの眉がピクリと反応する。


「テオさん、そんな風に思っていたんですか!?」


テオ「あぁ。飼い主のアーサーに碌に餌を与えられていないようだったからな。」

「餌って…!それにアーサーはちゃんと毎晩食事を摂らせてくれています!」


駄犬だとか…餌だとか…本当に失礼なんだから!私のことを何だと思ってるのかしら!


ムッとする私の頬をテオさんが引っ張る。


テオ「なんだ?不満か?」

ぐいぐいと頰をつまみながら問われるけど…

「いたいっ…!テオさん、痛いです!」


本当に犬扱いされてる…!

痛みに潤んだ瞳でテオさんを睨む。


「私は犬じゃないです!テオさんのこと、少し優しいかも…なんて思ってしまいましたけど間違えでした!」


テオ「キャンキャン喚くな。ますます犬みたいだぞ。まるで小型犬だな。」


本当に失礼な人…!優しいなんて勘違いだった!


しばらくそんな言い合いを続けていると…


「ねー、2人とも…俺のコト忘れてなーい?」

アーサーの拗ねたような声が聞こえた。

そしてやっとテオさんの手が頰から離れる。


「アーサー、私貴方の親友に意地悪された!」


赤くなった頰を示して呟くと…


テオ「意地悪ではなく躾だ。吠え癖は早めに矯正しないといけないだろう。」


「もう!だから犬扱いしないでください!」

私が頬を膨らませて反論していると…









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