第8章 8
「なーんか妬けるなー。」
私のつねられて赤くなった頬を撫でながらアーサーが零す。
テオ「心配しなくても人の飼い犬には手を出さん。噛まれそうだしな。」
「だから!私は犬では無いしアーサーに飼われているわけでもありません!」
「えーホントかなー?随分この子を気に入ってるみたいじゃなーい?ね、テオ?」
私の言葉を無視してアーサーがテオさんを挑発する。
テオ「勘違い甚だしいな。そんなに不安なら首輪でも着けておけばいいだろう。」
そんなアーサーの挑発を交わしテオさんがとんでもないことを言い出す。
「首輪…!?」
「わーお、それは名案かも。アナスタシアが誰と仲良くしてもいーけど、ちゃーんと 俺のですーっていう印を付けておかないとねー。」
「待って!私はいつからアーサーのものになったの?それに首輪なんて着けたくない!」
私が慌てて反論すると…
「ジョーダンだよ、ジョーダン。首輪なんて着けるはずないじゃない。キミは俺のものでもナイしねー。」
良かった…!なんだかおかしな方向に話が進んで焦ってしまった…
「びっくりした…」
「うん、ごめんねー。ちょーっとからかいたくなったんだよねー。
キミの反応が可愛くて。」
いつもの調子のアーサーが呟くと…
テオ「付き合いきれんな。とにかく、俺に餌付けされるのが嫌ならお前がこいつに精力以外の食べ物の味を教えてやれ。パートナーなんだろ?」
テオさんが意外な言葉を口にする。
「ん…。そうするー。キミってば本当に精力と俺がたまにあげてたファッジ以外口にしていなかったんだねー」
「だって…精力を貰えばそれでお腹は満たされたし…」
「そうだけど、たまにはファッジ以外の甘いものとか…あとはセバスの料理とか…色んな味を覚えるのも楽しいと思うよー?」
確かに、パンケーキやファッジはこのお屋敷に来て初めて食べたけれど…甘くて美味しくて、他のお菓子も食べてみたいなーとは思っていた。
「うん…じゃあこれからは食堂にも来てみる。
テオさんも、また美味しいもの教えてください!」
テオ「あー、暇つぶしにな。」
そう素っ気なく呟くテオさんだけど、その顔は意外にも微笑んでいて
その表情を見た私は
やっぱり本当は優しい人なのかな…
と思ったのだった。