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落花

第20章 エピローグ




テオ「お前は本当、アナスタシアの事になると途端に余裕が無くなるな。」

テオさん…

「そんなの当たり前じゃない。俺アナスタシアのコト愛してるしー。」

「ちょっとアーサー!」

急にそんなこと言うなんて…相変わらずアーサーは心臓に悪い。

熱くなった頰を押さえていると

テオ「ふん。明日からお前らの暑苦しいイチャつきを見なくて済むと思うと案外悪く無いな。」

「イ、イチャついてなんて居ません!」

恥ずかしくなり、唇の端を上げて笑うテオさんに反論する。

しばしそんな掛け合いをしていると…


伯爵「おや、車が来たようだね。」

伯爵の言葉と同時に、お屋敷の門の前に大きな車が停まる。


「えっ、もうそんな時間…?
私まだちゃんとお礼を言えてないのに…」


慌ててお屋敷の皆さんの方へ振り返る。

レオナルド「別に今生の別れって訳じゃねぇんだ。そんなに畏まらなくて良い。」

「でもっ…」

伯爵「レオナルドの言う通りだよ。ここへはいつでも帰ってきて良いんだ。畏まった挨拶じゃなく、いつものように…行ってきます。と言って欲しい。」

伯爵の温かい言葉に目頭が熱くなる。


「伯爵…皆さん…本当にありがとうございました!
っ…行ってきます!」


『行ってらっしゃい!』


私の言葉に、屋敷の皆さんが笑顔で応えてくれる。


「じゃ、そろそろ行こっか。じゃーね、みんな。
行ってきまーす」


差し出されたアーサーの手をギュッと握り、2人で一緒に車に乗り込んだ。



……

遠ざかる門を車窓から眺めながら、アーサーと繋いだ手をきつく握り締める。


「寂しい?」

「うん…少しね。」

隣に座るアーサーと向き合う形になり、彼が私の顔を覗き込む。

「ダイジョーブ、キミには俺がついてるでしょ?
…それとも、俺だけじゃ不満?」

「ッ、そんなわけないでしょ!それでもやっぱり寂しいよ。」

そう答えると、アーサーは私と繋いだままの手の上に空いていたもう片方の手を重ねる。

「寂しくなったらいつでも遊びに行けるから、そんなに悲しい顔をしないで?正直俺もちょーっとだけ寂しいし。」

そっか、アーサーの方がお屋敷に居た年数が長いんだから…寂しくなって当然だ。

私は握られて居ない右手でアーサーの髪を撫でる。


「ん…どうしたの?」




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