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落花

第20章 エピローグ




あのお願いから1年後。

テオ「やっと出て行くのか。」

「はいはい、ホントはちょーっと寂しいんじゃないのー?」

テオさんとアーサーはいつものように軽口を交わす。

テオ「はぁ?誰が寂しいんだ?」

「そんなのテオが、に決まってるじゃない。ね、アナスタシア?」

「えっ!?どうして私に振るの?」

テオ「気持ちの悪いことを言うな。やっと出て行ってくれて清々する。」

「もー、またそんなコト言ってー」

「あはは…」


私はテオさんとアーサーの掛け合いに苦笑いを漏らす。

そう、今日から私とアーサーはパリ郊外の家で暮らすのだ。

つまり、このお屋敷から出るんだけど…

「全然しんみりしないなぁ…」


いつもと何も変わらない掛け合いにため息を零していると…

太宰「貴女が居なくなってしまうなんて…寂しいなぁ」

モーツァルト「キミ、本当にアーサーと暮らすの?」

アイザック「アンタが決めたなら良いけど…アーサーさんと暮らすの…大変そうだね。」

ナポレオン「いつでも戻って来い。なんならこの屋敷に住んで、たまにアーサーの家に通うのでも良いんじゃないか?」

ジャンヌ「同感だ。」

フィンセント「アナスタシア、本当に行っちゃうの?寂しいなぁ…ねぇ、お家に遊びに行ってもいい…?」

レオナルド「嫌になったらすぐに帰って来いよ。」


背後でアーサーとテオさんの掛け合いを眺めていた住人の皆が私の側にやってくる。

「皆さん…ありがとうございます。」

私が感激のあまり涙しそうになっていると…


「ちょっとちょっとー!もー、みんなアナスタシアに近付き過ぎ!
あっ、太宰!どさくさに紛れてアナスタシアの手を握ろうとしないで!」

私と皆さんの間にアーサーが割って入る。

太宰「やだなぁ、俺はただお別れの挨拶をしようと思っただけだよ?手を握るくらいいいじゃないか。アーサーくんはケチだねぇ。」

「ダーメ、この子は俺のなんだから勝手に触るの禁止ー」

アーサーはそう言うけど…

「ねぇアーサー、私皆さんにちゃんと挨拶がしたいの…」

私がそう呟くと

「うっ…キミがそう言うなら仕方ナイ…。
太宰、あんまりベタベタしないでよね。」

そう言って割って入っていたアーサーが一歩下がる。


すると…


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