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落花

第18章 永遠にキミを


アナスタシア



あの湖で、もう消えてしまうだけだと思っていたのに

私は何故か目を覚ました。


しかも、懐かしいあの部屋で。



最初は夢かと思った。

けれど、隣に居る愛しいあの人に触れて

夢じゃないと気が付き、同時に泣きそうになってしまった。


200年近く会いたかった彼が側にいる。

200年経った今でも胸にある彼への愛情は薄まるどころかより濃く、強くなっていて…



「…ん」

彼が目を覚ましそう。

目が覚めた時、彼の綺麗な青い瞳に映るのは泣き顔じゃなくて笑顔がいい。


涙を堪えて、彼の目覚めを待つ。



……


薄っすら目を開いた彼。

変わらない、綺麗な青い瞳。



「あ…起きた」


久しぶりに声を出した気がする。


「……」


私の声を聞いた彼は薄っすらだった目を大きく開き、私を見つめて固まる。


あれ、声…聞こえなかった?


私は首を傾げながらもう一度口を開く。


「アーサー…おはよう…?」


アーサー、アーサー。

本当に久しぶりにこの名前を口にした。


また彼の名前を呼べるなんて、思ってもいなかった


「アナスタシアッ…!」


彼が、私の名前を呼ぶ。

そしてそのまま強く抱き締められる。


やっぱり夢じゃない。だってアーサーの温もりを感じる。


抱き締めてくれる彼を私も抱き締めたくて、背中に手を回すけど、上手く力が入らない。


「アーサー…久しぶりね。どうして私がここに居るのか…まだわからないけど…
貴方にまた会えて、嬉しい…」


力の入らない腕で必死に彼を抱き締める。


「キミは…夢じゃないよね?」

不安そうに私を見つめる彼を安心させたい。


私は微笑みながら答える。


「夢じゃないよ?…私も最初は夢かと思ったの。でもきっとこれは夢じゃないの…だってアーサーの温もりを感じるから。」


微笑んだのに、瞳には涙が滲む。


そのままアーサーの綺麗な瞳を見つめる。


会いたかった、何より愛しいアーサー。


「アナスタシア、もう何処にも行かせない。
俺はキミを愛してるよ。」


綺麗な瞳に見つめられながら、ずっと言われたかった言葉を囁かれる。



「私もっ…私も愛してる。アーサー、貴方を愛してるっ…!」


涙は耐えられなかった。







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