第16章 距離と想い
食堂から自室に戻る
久し振りに二人きりで一日過ごせることが嬉しくて、なんだか寝付けない。
そーいえば…最近ずっと執筆していなかったなー
アナスタシアに避けられるようになってからずっと執筆する気が起きなかった。
「久しぶりに、書いてみるかー…」
この頃彼女を見掛けると、渇きにも似た独占欲が湧き上がってくる。
おかしいな、血は貰っている。前のように毎日とはいかなくなったけれど、吸血衝動が我慢出来なくなる程では無い。
でも…足りない。俺の身体が彼女を求めてしまう。
こんな感情は久しぶりだった。
そういえば…‘あの子’が俺を受け入れてくれていなかった頃にも同じように渇きを感じたことがあった。
それと同じか、それ以上に…
アナスタシアが欲しくて堪らない。
「あー、ヤバイかも…」
呟きは、寝付けない夜に溶けて行った。
………
アナスタシアの甘い匂いがする
久しく聞いていなかった柔らかな声が聞こえる。
夢?
夢なら、キミを欲しがってもいい…?
「ん…」
薄く目を開くと、アナスタシアのローズピンクの瞳と目が合う。
まだ、夢の続きか…
明日には彼女が部屋を訪れるのに、夢に出るほど求めてしまうなんて…
「もう……こんな……風邪……
私……戻る……」
途切れ途切れに彼女の柔らかな声が聞こえる。
ほーんと、リアルな夢。
不意に、彼女が背を向けて部屋を出て行こうとしているのに気がつく。
夢の中でまで、俺から逃げるなんて…
「待って…」
行かせない、そう思って彼女の腕を掴む。
「どうしたの…?何か欲しいものでも…」
少しだけ驚いた顔の彼女が前のように声をかけてくれる。
欲しいもの…?そんなの…
彼女が欲しい。堪らなくなって、夢の中の彼女をソファに押し倒す。
現実ではこんなこと出来ないから。せめて夢の中ではキミに触れさせて。
酷く彼女に飢えている自分に気がつく。喉の渇きが強まった。
乱暴に、キミを抱きたい。逃げないで…
「なんで、逃げるの…?今日は逃がさない。」
そう囁き、夢の中の彼女の首筋に顔を埋めてキスを落とす。
何度も、何度も。
彼女が小さく抵抗するけど、その手を纏めて拘束する。
その間も彼女の耳や首筋に唇を這わせる。
ピクピクと反応する彼女が可愛い。
堪らない