第15章 アーサーside
…
「ねぇ、アーサーってば!こんなにたくさん着なくてもいいと思う!」
ブティックに着いてからというもの、お店のお姉さんに着せ替え人形のように何着もドレスを着せられる彼女が、うんざりとしたような顔で叫んでいる。
お姉さん「本当に何を着てもお似合いになりますわね…あ、次はこちらを…」
「えっ!?あの、もう本当に…!」
勘弁してくださいといった表情のアナスタシア。
そのまま視線で俺に助けを求めてくる。
わーお、こんな顔を見たのはハジメテ。
げっそりとした表情の彼女が新鮮…でも、そろそろほんとーに可哀想かなー?
「んー?キミが何を着ても似合うのが悪いー。
でも、その中でも…コレ。」
ロイヤルブルーのドレスを指差す。
ドレスにはローズピンクの花の装飾がされており、なんだか彼女の瞳に似ていた。
「綺麗な青色…!お花がピンクなのも可愛い!」
「デショー?ね、着てみてよ」
俺の言葉に、彼女は 「また着替えるの〜…?」と、少し苦い顔をする。
うん、この表情もハジメテ見た。
「だいじょーぶ、これで最後にするからー」
そう言ってなだめると、彼女はようやく着替える気になってくれたみたい。
「本当に最後だからね?約束だよ?嘘ついたら針千本だからね!
それじゃあ、着替えてくるから…」
念を押すように確認してくる。こんな些細なことで指切りの真似をする彼女は、やっぱり可愛い。
「はいはい、約束ね…。ん、行ってらっしゃい。」
しばらくして…
試着室の中から、お姉さんの感嘆の声が聞こえる。
着替え、終わったのかなー?
「アナスタシアー?着替え終わった?」
「あっ…!一応…」
中から返事が返ってくる。
「ほんと?見せてー」
そのままカーテンを開けると…
「っ!」
ロイヤルブルーのドレスを着た彼女。
想像以上に似合ってる。
一瞬見惚れて言葉を失ってしまった。
「あの…やっぱり着替え「イイね。すごーく綺麗。これ、全部くださーい」
彼女が言い終わる前に言葉を被せる。
だって、似合いすぎてる。まるでキミのために誂えられたみたい。
お姉さん「ありがとうございます!」
「待ってよアーサー!私こんなに高価なドレス買えない!」
慌てた様子の彼女。
けれど…