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落花

第15章 アーサーside




「アーサー、もういいよ!私は大丈夫だからっ…!」

傷付いた顔をしたままの彼女が、制止する。


「…キミが大丈夫でも、俺は大丈夫じゃナイ。
でも、キミが許すなら俺はもう何も言わない…。
ホラ、こーんな優しい子のどこが下品なのー?」


この子に免じて許してアゲル。今回はね。

出来るだけいつも通りを装って女の子達に告げると…


女達「っ、もういいわよ!行こっ!」

そう吐き捨てて逃げるように去って行く。


……

女達が去った後


「アーサー、ありがとう。庇ってくれて嬉しかった。」

彼女が呟く。まだ傷付いた顔をして、痛々しく微笑む。

「…ごめんね。俺のせいで、キミに嫌な思いをさせてしまった。」

その顔が切なくて、彼女の髪に優しく触れてみる。

「全然大丈夫だよ!気にしてないものっ!
でも、落ちたものを食べようとしたのは本当だから、下品って言われても仕方ないと思う!」

「…キミは優しいね。でも、落ちたものは食べちゃダメ。
お腹痛くなったらどーするの?」

なんて健気で可愛いのだろう。

「大丈夫!私あんまり体調不良にならないから!
…あ、じゃなくて…恥ずかしいよね、ごめん、気を付けます…」

またしょんぼりしてしまう彼女。キミのことを恥ずかしいだなんて思うはずないじゃない。

「そーじゃなくて、心配しちゃうでしょー?
それとも、俺に心配されたい?」

笑った顔が見たくて冗談を言ってみる。

「そんなこと考えてないよ!でも、クレープ…アーサーと分けるはずだったのに、ごめんね…」

また、悲しそうな顔。

「いーの。俺はさっきので充分だから。」

キョトンとした顔から、徐々に頰が赤く染まるキミ。

あれ、もしかして忘れてたー?

「さ、さっきのは…恥ずかしかったです…」

「もー、そんな可愛い反応されたら俺までドキドキしちゃうじゃない」

「もう!今度ああいうことする時は、前もって教えてね!」

「なーに、予告したら何してもイイの?」

「違う!もうっ!」

良かった、やっと少し笑ってくれた。

「あはは、ごめんね。キミが可愛くてつい。
そーだ、お詫びさせて?ワンピース、汚れちゃったでしょ?
新しいのを見に行こう。」

「ダメだよ、そんなの…!」

「いーから、付いてきて。」






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