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落花

第15章 アーサーside




「嬉しい!本当は食べてみたくて堪らなかったの!」

そう言って花が咲いたように笑う彼女。

本当に嬉しそう。この顔、好きだなー。




彼女が頼んだのはたっぷり苺が入ったクレープ。

お店の人も、あんまり嬉しそうに注文する彼女に、オマケだから
と言ってアイスクリームまで乗せてくれた。

彼女は小さな手にクレープを持ち、じっと見つめている。

食べないのかな?

不思議に思って彼女の顔を見ると、うっとりとした表情で色んな角度からクレープを見ている。

もしかして、勿体無くて食べられないとか…?


「アナスタシアー?早く食べないとアイスが溶けちゃうよー?」

そう声を掛けると、ハッとした表情を浮かべる。

「大変!アイスが溶けて来ちゃった!」

慌ててクレープに口をつける彼女。

一口含むと…

「美味しい…!」

そのまま幸せそうな顔でクレープを頬張る

なーんか、小動物みたい。

「ハジメテのクレープはどう?」

「とっても美味しい!こんなの初めて…!」

あーあ、そんな幸せそうな顔しちゃってー。

よく見ると、口の端にクリームが付いている。

かーわいい

「気に入ったみたいで良かった。俺にもひとくちー」

アナスタシアの持つクレープに口を近づけようとした時…


女「ねぇ!アーサーじゃない?」
女「ほんと!アーサーが居るわ!」

前方から女の子達が寄ってくる。

「キミ達は…」

思考を巡らせる…そうだ、この子と出会う前まで通ってた酒場の子達。


女「もぉ、最近お店に行ってもアーサーに会えなくて寂しかったわ!」
女「今日はどうしたの?アーサーを昼間に見かけるなんて珍しいわね!」

露出の多いワンピースを着た女の子が押し寄せてくる。

アナスタシアのこと、気付いているくせに…

隣に座るアナスタシアの存在を無視して次々と寄ってくる。

「んー?今日はプライベートなのー、酒場にはまた今度顔を出すからー」

やんわりと断ろうとするも…

女「もう!そんなこと言って、全然来てくれないくせに!
ねぇ、今から私達と遊ばない?久し振りに楽しみましょ?」
女「そうよ!私達と遊びましょ?」


先程よりもグイグイと近付いてくる。

と、その時1人の女の子がアナスタシアを押し退けるのが見えた。


「ちょっと…!」

慌てて声を掛けるも…






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