第1章 手紙
鳥居をくぐり抜けると、目映い光に包まれ思わず目を瞑る。
「主様、目をお開け下さい!着きましたよ!主様の本丸に!!」
そうこんのすけに言われ、恐る恐る目を開ける。
『……!!』
目を開けた先には、さっきまでは無かった大きな和風の御屋敷と広い庭。そして、肌から伝わるピリピリとした何処か暗い雰囲気。
私がそのまま本丸の玄関に向かおうとすると、こんのすけに"お待ち下さい!"と呼び止められた。
「くれぐれも油断はご禁物下さい。前の審神者の影響で、人間を良く思ってない者もいるかもしれませんので」
『……う、うん』
「それと、先程決めた審神者名を名乗る様に」
『わかった』
こんのすけに要注意と釘を刺され、今度は油断は禁物と心の中で繰り返しながら玄関に向かう。
玄関の前に立ち、インターホンを探す。が、インターホンは見当たら無い。
だが、無いからといって勝手に開けるのも気が引ける。
ならば、と私は大きく息を吸った。
『ごめんくださぁーい!!何方かいらっしゃいませんかー?』
「主様!私がさっき言った事をお忘れですか!?」
『え、だって周りに人居ないし。大声で言わないと聞こえないかなって…』
「それもそうですが、もしもの事があったら…」
すると突然、ガラッとこんのすけの言葉を遮る様に引き戸が開いた。
つい、ビクッと肩を揺らす。
「おまさんが、話に聞いとった次の主か?」
『あ、どうも始め、まし、て………!!…ぁ…血が……!!』
私達を出迎えてくれたのは、にこやかに笑う癖っ毛の…身体の彼方此方に包帯を巻く男の人だった。腹部の包帯には血が滲んでいる。
「あぁ、こんくらい…なんちゃあない!」
『なんちゃあ……?っじゃなくて、治さないと!えっと、こういう時は…!』
突然の事で先程教わった事が、パッと頭に浮かばず救いを求めるようにこんのすけに視線を移す。
「手入れ部屋へ参りましょう!!」