第1章 手紙
━━それから時は経ち今日は、あの日届いた手紙の期日となった。
『行ってきます』
玄関までお見送りをする両親にそう告げた。別れは惜しいが、これ以上時間が伸びてしまうと電車の時間に間に合わない。
私は両親に手を振り返し、キャリーケースを引き最寄りの駅に向かった。
東京駅━…
ビルが建ち並び、人が溢れる街中。ガラガラと音を立て、政府に指定された場所に向かう。
『……おぉ……』
政府に指定された場所に無事着くと、そこには何十階とある高層ビルがあった。
場違い。その言葉が今の自分にはお似合いな気がする。
都会慣れしていない折れてしまいそうな心をなんとか耐え、ビルの中に入って行った。
頑張れ自分!!
ビルの中はスーツを着た人達が忙しそうに行き来していた。その間をキャリーケースを持った状態ですり抜け、カウンターの前に行く。
カウンターには、綺麗目な女の人がにこやかで迎えていた。自分とは大違い……
そのカウンターの人は、私に氏名と要件を聞き、それに私は自分の氏名と政府から審神者に選ばれた事を答えた。
それから、その政府からの手紙を見せるとカウンターの人は何処かに電話を掛け始める。
「係りの者がもうすぐ参りますので、彼処にお座り頂いて、少々お待ち下さい」
『は、はい!』
ソファーに座り、その係りの人が来るのを一人待つ。暫くして、一人のスーツを着た男性とこんのすけが近付いてくる。
「御待たせ致しました。天宮様ですか?」
『はい!天宮廉です』
「私、天宮様の担当をさせて頂くことになりました。スズキと申します。それと、此方はこんのすけで御座います。
どうぞ宜しくお願い致します」
「こんのすけで御座います!宜しくお願い致します!」
『此方こそ宜しく、お願いします…!』
私の担当だと言うスズキさんがスッと名刺を差し出し、私はそれをお礼を言って受け取る。
すると、スズキさんは"此処ではなんなので…"と話す場所を変えようと言った。
私はそれに同意し、スズキさんとこんのすけの後に続いた。