第2章 ♢目覚め♢
「んっ…」
ぼんやりと目を開けると
見慣れない天井
あれ?寮舎に泊まったんじゃなかったっけ?
不思議に思い身体を起こそうとするが
「うっ…!」
何故か身体が鉛のように重く起き上がることが出来ない
何が起きたか分からず不安に襲われ
唯一動きそうな首をぐるりと回し周りの様子を確認した
「…え?あれって確か…」
リアから少し離れたところに
足と腕を組み、椅子に座りながら眠っている
リヴァイがいた
「…起きたのか」
リアがつい先程まで話に出ていた漫画の表紙に載っていた人物にソックリな彼を凝視し
どういうことだ?とあたふたしていると
その微かな物音で目を覚ましたリヴァイが不機嫌そうに声を出した
「…おい。なにか話せ。話せないのか?」
「あ…あの…」
「会話は出来るようだな」
そこからリヴァイが見つけてくれてから丸2日間リアが寝続けていたことと探るようにいくつか質問してきた
出身地や着ている洋服、足元に置いてあった2つの鞄の中身など
会話をしているうちにお互い警戒心は解け
リアも途中からなんとか身体を起こしてカバンの中身を見せたりした
「…まぁようするに、お前は地下街どころかこの世界のことを何も知らないと言うことだな」
「そうなります…」
冷静に周りを見ると
電気が通っておらず代わりに蝋燭に火が灯されている
そして古びた建物は昔の西洋の造りをしている
日本でも無いしリヴァイの話を聞く限り世界史の記憶を辿ってもどうも自分のいた世界とは話が繋がらなかった
そして何よりこのリヴァイという男は漫画に出てくる登場人物だ
信じがたいが漫画の世界に来てしまったということだろうか
普段のリアならこういった話は全くもって信じないが
自分の置かれている状況からして信じざるを得ない
「私、これからどうやって生きていけばいいんだろう…」
元の世界には戻れるのだろうか?
戻ったところで自由は無いが、右も左も分からない場所で暮らすよりかはましだ